Preferences/jp
環境設定を開くには、画面の左下、或いは右上にある環境設定ボタンをクリックします。ボタンの位置はRawTherapeeの編集タブのモードによって決まります。
RawTherapeeについて
“RawTherapeeについて”のボタンを押すと、スプラッシュスクリーン、貴方が使っているビルドの詳細情報、貢献者一覧、ライセンス、リリースノートが含まれた新しいウィンドウが開きます。
バグ報告を行う場合は、このウィンドウのビルドの詳細情報を使います。
一般タブ
レイアウト
編集画面のレイアウト
RawTherapeeのユーザーインターフェイスのレイアウトは、使用者の好みやニーズに合ったモードを採用することが出来ます。raw画像を一枚一枚表示させる、或いは複数枚を同時に表示させる、表示モニターを複数台に増やすことが出来ます。以下のモードが用意されています:
- シングル編集タブモード
- シングル編集タブモード 垂直型
- マルチ編集タブモード
- マルチ編集タブモード(2台目のモニターを使う場合)
画像編集タブのマルチ編集タブモードを使う場合、画面に複数の画像を同時に開くと、各画像とタブに対し多くのメモリーが消費されるので注意が必要です。RAM容量の大きなPCでない限り、マルチ編集モードは使わない方がいいでしょう。メモリーがどれだけ消費されるかは、扱う画像の解像度の大きさ、利用する機能、開いている他のアプリの状況によって変わりますが、一般的に言えば、8GB以上のRAM容量が必要でしょう。
モードを変える場合は、プログラムの再起動が必要です。
カーブのコピー・貼り付けボタンの位置
カーブの表示には、コピーや貼り付け、カーブの表示、保存、を行うボタンが含まれます。幾つかのカーブでは表示画像からサンプルデータを取り込み、それをカーブ上に節点として表示したり、数値の入出力を表示させたりするボタンもあります。このオプションは、これらのボタンをカーブ画面のどこに置くか選択するものです。
ボタンの位置を変える場合は、プログラムの再起動が必要です。
左側のヒストグラム
メインヒストグラムの表示を左側の履歴パネルの上にするか、或いは右側の機能パネルの上にするか選択します。
画像スライドにツールバーを表示
画像スライドは幅の狭いパネルで、編集タブの中で表示の切り替えが出来ます。パネルには現在開かれているフォルダーに収められている画像のサムネイルが含まれていて、絞り込みやランク付けのツールバーを表示させることも出来ます。編集画面での作業中に画像スライドが見えると便利ですが、画面の縦方向にもっとスペースが欲しい場合は、パネルを非表示に出来ます。必要に応じて表示・非表示を切り替えて下さい。ツールバーの表示・非表示は“画像スライドのツールバーの切り替え”というキーボードショートカットを使っても行えます。
ファイルブラウザのコンパクトツールバー
貴方のスクリーンの解像度が低すぎると、ツールバー全体を一度に表示出来ず、ツールバーの機能の一部(ボタンや、ドロップダウン、など)が隠れてしまうかもしれません。その場合は、カーソルをツールバーの所に持って行き、マウスのスクロールホイールを使ってツールバーを左右に動かし隠れた部分を表示して下さい。
垂直スクロールバーを非表示にする
画面の水平方向のスペースを若干ながら増やすために機能ボックスから垂直スクロールバーを非表示に出来ます。スクロールバーが非表示になってもマウスのスクロールウィールを使えばスクロールは可能です。
機能パネルの表示・非表示
幾つかの機能パネルの中身を常に表示しておきたい場合、それらのパネルを表示し、他を非表示にします。次に環境設定を開き、“プログラム終了時の機能パネルの開閉状態を保存する”オプションを無効にして、“機能パネルの今の開閉状態を保存”をクリックし、“OK”を押して環境設定を閉じます。これで変更が完了します。
別な方法として、編集作業が終了するたび、RawTherapeeに最後の機能パネルの開閉状態を記憶させることも出来ます。そのためには“プログラム終了時の機能パネルの開閉状態を保存する”のオプションを有効にします。
言語
ユーザーインターフェイスの言語を選択します。 “システムの言語を使う”を有効にすると、環境変数に基づいて自動的に言語を選びます。自動的に選ばれた言語を手動で別な言語に書き換えることも出来ます。
各翻訳言語のアップデートや新しい言語への翻訳を手伝って頂けるなら、以下のページをお読み下さい。
https://discuss.pixls.us/t/localization-how-to-translate-rawtherapee-and-rawpedia/2594
言語を変更する際はプログラムの再起動が必要です。
インターフェイスの外観
- テーマ
- ユーザーインターフェイスのテーマを選択します。テーマに関連した変更は“OK”を押すだけで画面上に直ぐ反映されますが、変更を正確に反映するにはプログラムの再起動が必要でしょう。
- 人間の視覚は色を認識する際、様々な要因に影響を受けます。説明の中で特に重要な部分は、観察対象の周囲の状態です。画面に映し出された画像の色のとらえ方は、その画像の周囲の色に影響を受けます。CIECAM02の項目に詳細説明があります。ユーザーが画像の調整でなるべく失敗しないようにするため、RawTherapeeは幾つかニュートラルな背景色を用意しています。どのテーマもグレーを基本にした背景色ですが、人間の視覚が最も影響を受け難いのは、“TooWaGrey ‐ 平均的周囲”で、RawTherapee5.2以降のバージョンに備わっています。
- メインフォントとカラーピッカーのフォント
- メインフォントと画像編集タブのカラーピッカー(右スクリーンショットの3で示した部分)のフォントを選択します。
- ユーザーの中には、画面の解像度やDIPの設定が原因で、デフォルトのフォントが小さすぎる、或いは大きすぎると感じる方もいるでしょう。このオプションでフォントサイズが変更できます。
- 切り抜きのマスクカラー
- 切り抜きマスクカラーで、切り抜いた画像の外側部分の色と透明度を調整します(右スクリーンショットの2で示した部分)。色の付いたボタンをクリックすると、新しいウィンドウがポップアップするのでそこで標準色を選ぶか、或いは“+”をクリックして新しい色を指定することも出来ます。縦軸で色相を、横軸で透明度を調整します。透明度は中程度に調整するのが便利でしょう。切り抜いた外側部分がまだ薄っすらと見えるので(スクリーンショットの2)、ベストな切り抜きの位置を確認できます(Shiftキーを押しながら切り抜き画像を動かせます)。
- ナビゲーションガイドカラー
- ナビゲーションガイドカラーは、ナビゲーターパネル(2つ目の右スクリーンショットの1)で表示領域を示す枠の色(2つ目の右スクリーンショットの2)を調節する機能です。
- 擬似HiDPIモード
- 画面尺度をユーザーのインターフェイスに合わせるオプションで、バージョン5.6のRawTherapeeから導入されました。これにより、ユーザーが使っているスクリーンがHiDPIでも、テキストや画像が鮮明に見えます。フォントサイズとDPI、ディスプレイ尺度に応じて計測されます。計測方式はWindows、Linux、及びmacOSで繰り返し動作テストを行って導入しましたが、macOSの場合、種類によって互換性が保たれません、特にmacOSのディスプレイ設定で“HiDPI”という接尾語が付いているモードの場合に保たれません。また、macOS 10.14.*の幾つかのバージョンは、どのモードにも接尾語は付いていませんので、この場合はユーザーが試してみるほかありません。
クリッピング領域の表示
シャドウ部分のクリップとハイライト部分のクリップ
のインディケーター(警告)を使うことで、画像の中の暗すぎる部分と明るすぎる部分を簡単に見極めることが出来ます。
これら2つのインディケーターのしきい値は環境設定>一般タブで定義します。
シャドウ部分のクリップインディケーターは、全ての色チャンネルが指定したシャドウのしきい値以下になっている部分を表示します。
ハイライトのクリップインディケーターは、少なくとも色チャンネルの一つが指定したしきい値以上になっている部分を表示します。全てのチャンネルが飽和している部分だけを見たい場合は、ハイライトクリップインディケーターに加えて、輝度プレビューモードを有効にします。
クリッピングは編集画面のメインプレビュー上部にある色域のプロファイルの種類を選択するボタンによって計算が変わります。このボタンが押されていると、クリッピングの計算は作業プロファイルで、押されていなければガンマ補正された出力プロファイルで行われます。
パン速度の増幅
高解像度の画像を拡大率100%で見ているとしましょう。いろいろな部分を見るために画像を“パン”するためには、マウスを何回も動かすことになります(そうしないためには、かなり大きなマウスパッドが必要でしょう)。その煩わしさを軽減するために、“パン速度の増幅”という機能をRawTherapeeは持っています。デフォルトでは5に設定されています。これはピクセルの移動速度を5倍に増幅しているということです。マウスの一回の動作で普通500ピセル程度動くので、5という設定は一回の動作で2500ピクセル動いていることになります。
画像が拡大される程、効果が顕著になるでしょう。
”ズームレベルとパン速度を記憶する”というオプションが有効の時、次の編集画像が開かれると、RawTherapeeは今の画像と同じ部分を今の拡大率で表示します。但し、画面モードが“シングル編集モード”で、”プレビューのズームレベルが100%以下の場合に使うデモザイクアルゴリズム”で”pp3の記述通り“が選択されている場合に限ります。
外部エディター
RawTherapeeは編集した画像を、編集や閲覧、スクリプト挿入を行う外部プログラムに直接送ることが出来ます。編集タブのメイン画面の下にある″外部エディターで今の画像を編集″を使います。画像の保存の説明を参考にして下さい。この環境設定の説明では、どの様に外部プログラムに送るのか、その設定説明をします。
登録を開始するにあたり、まず、のボタンを押します。次に"アプリケーションの変更"、もしくは"実行ファイルの変更"をクリックして外部エディターを選択します。アプリケーションの変更ボタンは、インストールされているアプリケーションの中から目的のアプリケーションを選択するボタンで、実行ファイルの変更ボタンは実行ファイルを選択するボタンです。この様にして複数の外部エディターを登録することが出来ます。外部エディターを削除する場合は、削除するエディターをリストで選択し、
ボタンを押します。
画像処理タブ
画像処理のデフォルト値
RawTherapeeでraw及びraw以外の画像を開く際に使う処理プロファイルを指定します。
- RawTherapee5.4ではrawファイルを開く場合に、“自動でトーンカーブに合わせた低ISOプロファイル”を使うようにデフォルトで設定されています。
- Raw以外のファイル(JPEGやTIFF、或いはPNG)を開く場合に使うデフォルト処理プロファイルは“ニュートラル”がベストでしょう。“ニュートラル”プロファイルは画像をそのまま何の調整も加えずに表示します。
貴方自身で作成した処理プロファイルをリストに表示するためには、それを“config”フォルダーにある“profiles”というサブフォルダーに保存しておく必要があります。詳細がファイルパスの項で説明されています。
”ダイナミック”という特殊なエントリーを選ぶと、ダイナミック処理プロファイルをサポートする状態になります。
サムネイルを右クリックし、“処理プロファイルの操作→デフォルトにリセット”を選択すると、RawTherapeeは画像形式に合わせて指定しているデフォルトの処理プロファイルを適用します。デフォルトを“ダイナミック”に設定していれば、“デフォルトにリセット”を押すと、ダイナミックプロファイルの規定に基づいて処理プロファイルを生成します。
カスタム処理プロファイルビルダー
上記のような新しい初期処理プロファイルが作られた時は、その実行(或いは作業)ファイルが呼び出されます。そのコミュニケーションファイル(*.ini style 別名“Keyfile”)のパスが、コマンドラインパラメータとして追加されます。規則正しく処理プロファイルを作成するため、ここには実行、或いは作業ファイルに関する様々なパラメータが含まれます。
この設定は、非常に効果的です;例えば、自身のカメラレンズの歪曲収差補正値、画像の性格に基づいたノイズ低減などを設定できるのです。実行・作業ファイルが呼び出されるのは、画像編集の最初、或いはファイルブラウザや画像スライドで、手動によりサムネイルの右クリックで開かれた操作メニューを実行する時です。
注意:パスでスペースを使う必要がある場合は二重引用符の使い方に気を付けて下さい。
処理プロファイルの取り扱い
- 処理プロファイルを保存する場所
- 処理プロファイルを入力ファイルに付随して保存するか(デフォルトでの設定)、中央のcacheに保存するか、或いはその両方に保存するか選択します。
- 処理プロファイルは入力ファイルに付随して保存する方が便利です。画像のバックアップや扱いがその処理プロファイルと共に簡単に行えるからです。
- 処理プロファイルを読み込む場所
- RawTherapeeは画像の処理プロファイルをそのパラメータが記録されている同じディレクトリ、そして中央のcacheから探します。プロファイルが双方の場所に存在するが同一のものではない場合、どちらかを優先的に選択する設定をします。
ディレクトリ
貴方のダークフレーム、フラットフィールド、及びHaldCLUTフィルムシムレーションフォルダーのある場所を指定します。
切り抜き画像の編集
このセクションでは編集前の切り抜き画像に表示させるガイドを指定します。“元画像”は選んだガイドのタイプを元画像に表示します。“フレーム”や“なし”を設定すると、例えばガイドのタイプに“三分割”を選べば、切り抜き画像を動かしている時だけ三分割ガイドが表示され、動かし終わると自動的に三分割ガイドが消えます。
また、チェックボックスのオプションを有効にすると、RawTherapeeは自動的に切り抜いた画像をスクリーンに合うように拡大します。
ダイナミックプロファイルの規定タブ
ダイナミック処理プロファイルを作成するための独自の規定をここで定義します。
ファイルブラウザタブ
起動時の画像ディレクトリー
起動時にどのディレクトリーを立ち上げるか指定します。RawTherapeeのインストールディレクトリー、直近使われたディレクトリー、ホームディレクトリー、或いは貴方が指定するディレクトリー、を選びます。
ファイルブラウザ/サムネイルのオプション
サムネイル画像にどの情報を表示するか、どの様に表示するか、を決めるオプションです。
メニューオプション
ファイルブラウザ(及び、画像スライド)で、右クリックした際に表示されるメニューのグループを指定します。
拡張子
このオプションでどのファイルを画像として認識し、ファイルブラウザに表示するか選びます。デフォルトでは、サポートしている拡張子、全てが有効に設定されています。但し、PNGファイルを除きます。
希望する拡張子が見つからなければ、“追加”ボタンを使って簡単に追加出来ます。
時々「拡張子のパネルが空だ」という報告があります。古いバージョンのRawTherapeeをアップデートした際に、それが起こることがあるようです。もしも、貴方の拡張子パネルが空だった場合は、まずRawTherapeeを閉じて下さい。そして、プログラムの中から"options"ファイルを捜し出して削除して下さい。その後、RawTherapeeを起動すれば、直近のデフォルトが適用されるので、サポートしている画像形式の拡張子が全て入っていると思います。
cacheオプション
この項を理解するために、初めにCacheの説明を読んで下さい。普通、ユーザーがここのデフォルト設定を変える必要はないと思います。
サムネイルの最大の高さで、サムネイルの大きさを決定します。各サムネイルはRawTherapeeのCacheに保持され、それなりのディスクスペースが必要になりますので、デフォルトの設定以上にサムネイルのサイズを大きくすることには注意が必要です。
Cacheに入れるファイルの最大数を決定します。設定値に届くと最も古いファイルから削除されて行きます。
“クリア”ボタンを使ってcacheに入っているファイルを手動で削除できます。
“cacheに入れた処理プロファイル以外の全てのファイルを削除する”というオプションで、RawTherapeeのバージョンを更新する際にディスクをクリーンにすると同時に、cacheに関わる処理プロファイルの改善点を維持します。
カラーマネジメントタブ
“カラープロファイルを含むディレクトリー”というボタンで、RawTherapeeにカラープロファイルが収まっているフォルダーを指示して下さい。
カラープロファイルが収まっている場所は、通常:
- Windows
C:\Windows\system32\spool\drivers\color
- Linux
/usr/share/color/icc/
- macOS
/library/ColorSync/Profiles/Displays/
モニター
モニターのキャリブレーションとプロファイリングを行った場合は、“デフォルトのカラープロファイル”に貴方が作成したICCプロファイルを指定します。また、“OSのメインモニタープロファイルを使用”というオプションで、RawTherapeeに自動的にプロファイルを検知させることが出来ます。
- Linuxの場合は、モニターのICCプロファイルを自動で探すためにICC PROFILEのX11 atomが使われます。そのような目的のatomは一つしかなく、それは“メイン”モニターを自動で検知するためだけに使われますが、複数のICCプロファイルを標準的な場所にコピーすることは出来るので、編集タブのプレビューで手動により選択します。Atomに正しくLinuxにモニターのプロファイルを“インストール”させるように設定する最も簡単な方法は、“ファイル→プロファイルをインストール”経由で、DisplayCALを使います。
X11 atomがセットされたかどうかを知るには、コンソールから以下を実行します:
xprop -len 8 -root _ICC_PROFILE
結果が"_ICC_PROFILE: no such atom on any window"になった場合は、atomが設定されていないことになり、数多くの数字になれば、セットされていることになります。
- Windowsの場合は、ICC(或いはICM、双方とも同じです)プロファイルを右クリックし、コンテキストメニューで“プロファイルをインストール”を選択するか、スタートメニューの中で“カラーマネジメント”を探します。
- macOSが表示する色は全てsRGBの色空間です。スクリーンがキャリブレーションされていれば、必要に応じて、macOSの有するカラーで変換してキャリブレーションした色にマッチングさせます。つまり、macOSではモニターのカラープロファイルを選べないということです。色は正しく表示され、それは複数のスクリーンでも可能ですが、それらが色域の広いスクリーンでも(例えば、sRGB以上の彩度を表示できるディスプレイ)、RawTherapeeが表示できる色はsRGBの範囲に限られます。しかし、それは出力には影響しませんので、sRGBの外にある色で画像を作成できます。より詳細な情報が必要な場合は、以下のリンクを参照して下さい:https://discuss.pixls.us/t/wide-gamut-preview-in-macos/2481
レンダリングのインテントとブラックポイントの補正は以下で説明します。
モニタープロファイルはRGB色空間の“device”クラスである必要があります。
プリンター(ソフトプルーフィング)
印刷される画像のカラーレンダリングをまねるために、貴方のプリンターや貴方が使っている印刷サービスのカラープロファイルを選択します。
プリンタープロファイルはRGB或いはCMYK色空間の“output”の部類である必要があります。
以下のブラックポイント補正も参照して下さい。
レンダリングインテント
レンダリングのインテント (英語)というドロップダウンリストから、色域や色空間における色変換に関し、ICCプロファイルをどのように使用するか選択します。“モニター”に関しては、色の“出発点”は色をモニターの色空間に収める前の処理工程最後の画像データに基づいており、“目標点”は選択されたモニターの色空間となります。“プリンター(ソフトプルーフィング)”に関しては、“出発点”は処理工程最後の画像データに基づき、“目標点”はプリンターの色空間となります。
- 相対的色域
- 出発点の色が目標点の色空間の色域から逸脱している場合、色域内の他の色に影響を与えないレベルで色域内の中で最もそれに近い色で表現します。ホワイトポイントは補正されます。デフォルトではこのインテントが設定されており、どの様なプロファイルでも使えます。
- 知覚的
- 出発点の色が目標点となる色空間の色域から逸脱している場合、目標点の色域を圧縮します。よって色域内の色が影響を受けます。どの様に圧縮されるかは、使うカラープロファイルの色域の分布次第です。普通は彩度が下がりますが、色相が変わることもあります。本来知覚的インテントは色域の分布図が含まれているLUTプロファイルだけにしか使えません。ところが多くのICCプロファイルはこの分布図を持っていません。しかし、そう言った場合でも警告が表示されるわけではありません(ソフトウェアの多くがそうです)。
- 絶対的
- 相対的インテントと似ていますが、ホワイトポイントの補正が行われません。これが理由で、このインテントが使われるのはスクリーンに紙の様な白を表現したい場合です。試験的な用途以外では使わないでしょう。
ブラックポイント補正
これを有効にすると、色変換の過程で入力画像のブラックポイントレベルが出力画像のそれに代わります(例、作業プロファイルのブラックポイントレベルから表示デバイスのそれに)。出力カラーの限界に合わせるために、輝度チャンネルだけが、圧縮されたり、拡張されたりする、という意味です。つまり、色表現を多少犠牲にして、シャドウ部分の詳細を保つようにします(均一になってしまうのを避けるため)。
バッチ編集タブ
バッチ編集は複数枚の画像を同時に編集する機能です。ファイルブラウザのバッチ編集タブで行います。
バッチ編集タブの機能パネルは、画像編集タブのそれに似ていますが、チェックボックスを使って、選択した画像に対し、どの機能を同時に適用する・しないを決定します。これらチェックボックスは機能の適用状況を次の3つで表します:
[ ]
無効
[✓]
有効
[-]
選択された画像によってその値が異なる
バッチ編集はファイルブラウザの中で複数の画像を選ぶことから始めます(⇧ Shift、或いは ^ Ctrlのキーを押えながら、選択する画像をクリックします)。そして、右側にあるバッチ編集パネルの機能を使って編集を行うことが出来ます。
バッチ編集パネルの制御ツール(スライダー、スピンボックスなど)は、選択した画像の処理パラメータの値を表示しています。これら値は、処理プロファイルのデフォルト値、或いはその画像を最後に編集した際に使った設定値です。
もしも、ある画像の編集が編集画面で行われていると、バッチ編集パネルに表示されているその画像にリアルタイムで反映されます。逆もまた真なり、なので注意して下さい。
バッチ編集における機能の値がどの様に画像に適用されるかは、バッチ編集タブの“モード”の設定次第で変わります。
“ファイルブラウザ”で複数枚の画像が選択されている場合は、スライダーの作用は以下に示すモードの選択によって異なります。デフォルトで“追加”モードが有効になっていないツールは、通常、“設定”モードで使われるモードと考えて下さい。
- “追加”モード
- “相対モード”とも呼べるモードです。“追加”モードでスライダーを動かすと、スライダー値は各画像の既存のスライダー値に加算されます。例えば、Ctrlキーを使って選ばれた2つの画像で、一方の露光量補正が‐0.5で、もう一方のそれが+1.0であったとしましょう。ここで露光量補正のスライダーを0.3上げると、はじめの画像の露光量補正は‐0.2、もう一方の画像のそれは+1.3に変化します。
- “リセット”ボタンを押せば、スライダー値はデフォルト(0)に戻り、両画像の露光量補正値も元に戻ります。
- “設定”モード
- こちらは“絶対”モードとも呼べるモードです。“設定”モードにすると、既存のスライダー値に関係 なく、新たに調整されたスライダーの値がパラメータとして、選択された画像に反映されます。先ほどの例を使えば、スライダーを0.3に上げると、両画像の露光量補正値が0.3になります(全ての画像に対して同じ値)。
- “リセット”ボタンを押すと、スライダーはデフォルトの位置(スライダーによって違います)に戻り、各画像のパラメータもリセットされます。
パフォーマンスタブ
“パフォーマンス”タブは上級者向けのタブです。RAM容量やCPUの速度に応じて、一部機能のパラメータを変更します。
プレビューのデモザイク方式
“プレビューのズームレベルが100%以下の場合に使うデモザイクアルゴリズム”は、編集画面のメインプレビューで使われるデモザイクの方式を設定するオプションです。デフォルトでは、Rawタブのデモザイクの項で指定されているデモザイク方式が使われるようになっています。しかし、貴方のPCの処理速度が遅い場合は、方式を“Fast”に変更することで、処理速度を数百ミリ秒稼ぐことが出来るでしょう。変更により画質が犠牲になりますが、殆どの場合その変化は軽微なものです。
TIFFファイルの読み込み設定
デフォルトでは“TIFFファイルの読み込みをシリアライズ”が有効になっています。沢山の非圧縮TIFFファイルが入っているフォルダーを初めて開く際に処理速度を上げるためです。
HALD CLUT cache
“cacheに入れられるHALD CLUTの最大数”は、編集画面でHALD CLUT(フィルムシミュレーション)画像を何回も入れ替える場合に備え、アクセスの速いRAMに何枚まで保持するか設定するオプションです。
カメラ出しJPEG
殆どのrawファイルにはJPEG画像が埋め込まれています。カメラ出しJPEGタブでその画像を見るためには、それを抽出しなければなりませんが、時間は殆どかかりません。“cacheに入れる画像の最大数”は、最後にカメラ出しJPEGタブで見た埋め込まれたJPEG画像の何枚までをRAMに入れるか設定するオプションです。RAMに入れることで、RawTherepeeが抽出作業を繰り返す必要が無くなります。 “表示する画像”オプションで、埋め込まれているJPEG画像を表示する、或いは実際のrawデータに”ニュートラル処理プロファイルを適用して生成した画像を表示する、を選択します。埋め込まれたJPEG画像を表示する方が処理時間は短く済みます。
スレッド
スレッドを分割し、且つ同時に計算すれば実行速度は確実に早くなりますが、その分より大きなRAM容量が必要です。デフォルトでは、RawTherapeeが自動的に使用するスレッドを計算するように設定されていますが、このオプションを使って書き換えることが出来ます。
最近の殆どのCPUは物理的コアごとに2つのスレッドを処理します。CPUが何個のコアを持っているか分れば、それを2倍にした数が、そのCPUが同時に処理できるスレッドの最大値になります。ここでその数をTmaxと呼ぶことにしましょう。これより大きい数のスレッドを同時に処理する設定をしてもメリットはありません‐実際には処理速度が若干落ちると思います。
パラメータ“0”の設定で、CPUはTmaxの数が何であるか分るようになっています。もし、この設定でプログラムがクラッシュするようであれば、それはRAM不足ということになりますので、Tmaxを独自に算出し、それより小さい数を入力します。
サウンドタブ
“サウンドタブ”で、作業の終わりを音声で知らせる設定が可能ですが、現在、この設定はOSがWindowsとLinuxの場合だけです。
“キュー処理終了”の音声は、バッチ処理キューにあった最後の画像の現像処理が終わると流れます。“編集作業の終了”の音声は、設定した編集作業時間が過ぎると流れます。
音声を消すには、音声オプションを無効にするか、或いは設定画面の参照音声ファイルを空白にします。
“キュー処理終了”と“編集作業の終了”のテキストボックスには、wave(.wav)ファイルか、以下の中から選んだファイルを指示して下さい:
- Windowsの場合:
- SystemAsterisk
- SystemDefault
- SystemExclamation
- SystemExit
- SystemHand
- SystemQuestion
- SystemStart
- SystemWelcome
- Linuxの場合:
- bell
- camera-shutter
- complete
- dialog-warning
- dialog-information
- message
- service-login
- service-logout
- suspend-error
- trash-empty
- 次のような形式であれば、どの様なファイルでも可能
/usr/share/sounds/freedesktop/stereo/
RawTherapeeは音を出すためにlibcanberraを使います。Linuxでは音声がでないことがある、という問題がありますが、その場合端末から以下のコマンドを入力してみて下さい(“bell”以外の名前を使います)。
canberra-gtk-play -i bell