Local controls/jp
イントロダクション
画像の一部分を編集する機能です。RawTherapeeのローカル編集(部分的な編集)はRT-スポットと呼ばれるユニットをベースに行われます。原理は元々Nikon Capture NX2©で使われていたU-Pointのコンセプトに似たもので、その後Nikon Collection©、DxO PhotoLab©、Caputure NXD©でも使われています。RT-スポットは、この手法を元にJacques DesmisがRawTherapee専用のアルゴリズムとして開発したものです。
RawTherapeeの手法は、GIMPやPhotoshop©などで広く知られているローカル編集のアプリケーションの手法とは全く異なります。これらアプリケーションは、基本的にブラシやレイヤー、ブレンドマスクに関連したlassoやmagic wandsなどのツールを使いますが、通常、編集に時間がかかり、複雑な形状の部分的な画像には使いづらいことがあります。
RT-スポッはト楕円形或いは長方形の境界フレームと、その中心に位置する大きさが変えられる中心円で構成されています。境界フレームは4つのコントロールポイントを持ち、各ポイントを独立して動かすことも、左右・上下対象で動かすことも出来ます。将来のバージョンでは、より洗練されたフレーム設定を取り入れる予定です。
RT-スポットのアルゴリズムは、ΔE(色差:与えられた2つの色の視覚的な知覚の差)をベースにした形状検出を使っています。楕円形、或いは長方形の境界線で囲まれた画像の中で、編集する領域を選定します。これら調節を細かくコントロールすることで、より精密に編集領域を定めることが出来ます。マスクを追加的に使えば、更に精緻な特定が可能ですが、ローカル編集に必要とされる大部分の条件は形状検出のアルゴリズムだけで十分です。また、RT-スポットは、画像の特定部分だけ編集作用を除外するようにも使うことが出来ます。利用できる編集機能は広範囲に及んでいて、画像を全体的に調整するメインの機能の殆どを備えています。もちろん、このローカル編集だけに備わった機能も幾つかあります。
各機能は以下で説明するモジュールに収められています(接尾の数字は、そのモジュールがローカル編集の処理工程の何番目に位置しているのかを表しています、例:色と明るさは11番目):
色と明るさ - 11
色、明るさ、コントラストの調整と、赤目やセンサーに付着したゴミなどの影響を補正する機能です。その他、階調フィルタ、トーンカーブ(L*a*b*)、ファイルの融合、マスク機能が備わっています。
シャドウ/ハイライトとトーンイコライザ - 5
シャドウとハイライトのスライダーを使って、或いはトーンイコライザを使って、シャドウとハイライトを調整する機能です。露光補正モジュールの代わりに、或いは併用して使うことが出来ます。階調フィルタとして使うことも出来るでしょう。
自然な彩度とウォーム/クール - 3
自然な彩度を調整する機能で、基本的なアルゴリズムはメインのカラータブにある“自然な彩度”と同じです。色の見えモデルのアルゴリズムを使って、ホワイトバランスと同等の調整を行います。
対数符号化 - 0
対数符号化のアルゴリズムを使って、露出不足やハイダイナミックレンジの画像を調整します。
ダイナミックレンジ&露光補正 - 10
L*a*b*色空間で露光補正を行います。画像のΔEを考慮し、アーティファクトの発生を抑えるため、ラプラシアンPDEアルゴリズムを使います。ラプラス作用素は微細な詳細を検知することに優れています。利用にあたって、複雑なこの原理を理解する必要はないでしょう。
共通のカラーマスク - 13
マスクは他のモジュールにも備わっていますが、それらはそのモジュールの機能を補完するために使います。このモジュールのマスクはそれ自体が調整機能です。スコープ機能の様に、画像の表情(色、明るさ、コントラスト)や質感を変えるために使われます。
ソフトライトと独自のレティネックス - 6
前者はメインのカラータブにあるソフトライトと全く同じ効果をもたらします。後者はレティネックスのアルゴリズムを使って、覆い焼きや焼き込みを行います。
ぼかし/質感とノイズ除去 - 1
背景をぼかす、肌の印象を和らげる、画像をフィルム調に仕上げる、ノイズを除去する目的で使います。
トーンマッピング - 4
メインの露光補正タブにあるトーンマッピングと同じです。但し、ローカル編集のトーンマッピングはメインのそれと併用は出来ません(メインのトーンマッピングは無効にする必要があります)。
霞除去とレティネックス - 9
霞除去とレティネック(機能モードが“高度”の場合のみ)の機能です。霞除去や高いコントラス値のローカルコントラスト調整、“明瞭”に似た効果を得るのに便利です。
シャープニング - 8
シャープネスの改善にRLデコンボリューションを適用します。調整が見極められるように、画像を100%に拡大します。
ローカルコントラストとウェーブレット - 7
- ローカルコントラスト:基本的にメインのディテールタブにある“ローカルコントラスト”と同じ働きです。
- ウェーブレット:メインの高度な機能タブにある“ウェーブレットのレベル”(モードは高度)と基本的に同じ機能(明瞭、コントラスト、ぼかしなど)です。“ローカル編集”では、大きな汚れや欠損などの補正に使うことも出来ます。
詳細レベルによるコントラスト調整 - 2
センサーやレンズに付着したゴミに起因した跡などを補正するのに使います。
各モジュールにはその機能水準(基本、標準、高度)を選択するトグルボタンが付いています。デフォルトで表示する機能水準は環境設定パネルで設定できます。
以下に続くセクションで、ローカル編集機能の使い方を幾つか紹介します。しかし、貴方自身で機能の使い方を探りたい、と言うのであれば次のことを奨めます。環境設定パネルで、“デフォルトのローカル編集の複雑度”を“基本”に設定し、ローカル編集モジュールの先頭に表示されている、“全ての設定項目を表示”のオプションに✔があれば外します。これにより、単純化されているものの強力なローカル編集機能の使い方を初歩から学ぶことが出来ます。
まず、“色と明るさ”、“シャドウ/ハイライトとトーンイコライザ”、“自然な彩度とウォーム/クール”機能の特性を知ることから始めましょう。手動で機能の水準モードを“標準”に上げて(コンボボックスに現在の水準が表示されます)、追加的な機能も試して下さい。“色と明るさ”のモジュールは非常に強力で、メインのカラータブにある“カラートーン調整”のL*a*b*の補正領域と、露光補正タブにあるL*a*b*調整のカーブの両方の機能を持っています。
初動
ローカル編集機能を有効にする
- 画面右上の一連のタブから手の形のアイコンが表示されているタブ(ローカル編集)を選びます。
- (機能がまだ有効になっていない場合は)“ローカル編集”と表示されたタイトルをクリックし、機能パネルを“拡張”します。
- “追加/作成”をクリックします。
Rawファイルへのリンク: [1]
準備
RT-スポットを目標の位置に移動します。本例では、画像の他の部分に影響を与えずに、花の色の彩度を増やし、輝度(明るさ)を下げることを目的にした手順を説明します。
- RT-スポットの中心(この部分が編集を行うための参照値になります)を目標とする調整を代表している個所(本例では赤い花びら)に移動します。
- 4つの境界線を使って、花の周辺を大きく囲むようにRT-スポットを広げます。マウスをコントロールポイント(4つ)に合わせウスを押したままポイントを左右上下に移動して、RT-スポットの大きさ(編集領域)を調整します。
- プレビュー画像のツールバーにある“ロック式カラーピッカー”を使って、花びらのレッド、空のブルー、葉のグリーンの3つの色情報(L* a*b*)を表示させます:
- これら3点のL* a*b*情報は以下の様になっています:
- 花びらのレッド: L=48.6 a=74.4 b=47.0
- 空のブルー: L=68.6 a=-3.1 b=-16.6
- 葉のグリーン: L=48.3 a=-28.3 b=51.4
Rawファイルへのリンク: [2]
色と明るさの機能を追加
“設定”パネルの最下段にある、“現在のスポットに機能を追加”というコンボボックスから、現在のRT-スポットで使う機能を指定します。
- 一覧の中には、“色と明るさ‐11”、”対数符号化‐0“など12個の機能があります。各RT-スポットで、1つ或いは複数の機能を使うことが出来ます。機能名の後に付いている数字は、処理工程の順番です。つまり、”対数符号化-0“が処理工程の一番前に位置し、”色と明るさ(不良部分の修正)-11“が最後です。機能に付随するマスクによる処理も同じです。
- 一覧の中から“色と明るさ-11”を選択します“
輝度(明るさ)と色度の調整
スライダーを使って明るさを-70、色度を130に調節します。
その結果、花の色だけが変わりました: 花のL* a*b*の値がL=41.0 a=65.6 b=52.8に変わりましたが、空のブルー、葉のグリーンのL* a*b*の値に変化はありません。
カラー機能のスコープと境界値
“設定”の中の:
- "カラー機能のスコープ“のスライダーを動かして効果を見ます:
- デフォルト値は30ですが、スライダーの値を下げると、RT-スポットの中心点が置かれている部分のレッドの情報(明るさ、コントラスト、色度)と、それとあまり変わらない情報を持つ他の部分のレッドの調整効果に違いがなくなります。つまり、中心点のレッドの色に近い他のレッドも同じように、明るさと色度が変わります。一方、色情報の違いが大きい、空の色などは変わりません。
- 一方、スライダーの値を上げると、色情報の違いが考慮されず、漸進的に調整効果が空のブルー、次に葉のグリーン、そして最後には画像全体(スコープ100の時)の明るさ及び色度に波及します。
次に、スコープの値を100のままにして、設定の“全ての設定項目を表示”オプションを有効にします。
- その中の“境界の階調調整”の境界値を上げ下げして変化の違いを見ます。
- 値を5にしてみます。
- 100にしてみます。
調整領域のプレビュー ΔE
調整が作用する部分をプレビューで確認することが出来ます。調整自体や、境界は表示できませんが、“スコープ”の設定値に応じて作用が及ぶ部分を見極めることが出来ます。2つのケースがあります:
- RT-スポットに追加されている機能が一つだけの場合(例、“色と明るさ”の機能だけ):“設定”に付属している“ΔEのプレビュー”ボタンを使います。
- RT-スポットに追加されている機能が複数の場合(例、“色と明るさ”と“露光補正”):プレビューで確認したい効果に関係する方の機能(例、色と明るさ)の中にある“マスクと調節”パネルを拡張し、コンボボックスの中にある“ΔEのプレビュー”を使います(但し、機能水準が標準或いは高度の場合だけ)。そうすれば、確認の必要がない方の効果(例、露光補正)はプレビューに反映されません。露光補正の効果を表示させたい場合は、露光補正機能の中の”ΔEのプレビュー“を使います。
設定の中の“形状検出”の“ΔEのプレビュー表示色とその強さ”を調整して、プレビューの表示色とその強さを変えることが出来ます(例 グリーンでの表示をブルーにする)。
調整の効果を見る
調整で変化した部分を見るためには:
- モジュール(本例の場合は“色と明るさ”)の一番下に表示されている“マスクと調節”を開き(注意:機能の水準を“標準”或いは“高度”にしないと表示されません)、コンボボックスの中から“マスクなしで調節を表示”を選択します。
- このオプションにより、画像の質感や構造だけでなく、輝度、コントラスト、色度などに対して行われた調整により変化した部分を知ることが出来ます。
- 境界の階調調整の調整(境界値、境界値の減衰、境界の差異XY)により変化した部分も見ることが出来ます:
- “カラー機能のスコープ ”のスライダー調整により変化した部分も見ることが出来ます。上記2.5で説明したように、このスライダーはΔEに作用します。
ローカル編集で画像全体を調整
ローカル編集の利用は画像の一部の編集だけに限られるわけではありません。画像全体を処理することも出来ます。RT-スポットの形状に長方形を使い、RT-スポットが画像全体を囲むように手動で拡大して画像全体の編集を行います。将来的には自動でその設定を行えるようにします。
“設定”メニューの“全ての設定項目を表示”に✔を入れ、以下の設定を行います:
- RT-スポットの形状で長方形を選択します。
- その長方形の4辺を、プレビュー画像を囲むようにマウスを使って拡大します。
- 境界の階調調整パネルを拡張し、その中の境界値を100に設定します(諧調効果を付けたい場合は100以外の値を設定しますが、階調を施す機能は他にも幾つかあるので、それらを使ってもいいでしょう)。これでこのモジュールの機能すべてを使って画像全体を調整出来ます。
実例-葉の色を変える、その後一枚の葉だけを除外する
葉の色を変える
- “カラー補正グリッド”でL*a*b*の補色次元a*とb*を変えます。“直接”を選択し、“強さ”の値を高くします。そして、グリッド上の点(黒と白)を実例の様に移動すると、全ての葉の色が変わります。
- 必要であれば、“カラー機能のスコープ”を調整します。
- 空の色や花の色は異なるので変化しません。
その後、一枚の葉の色だけを元のグリーンに戻す
- 2つ目のRT-スポットを追加します(“設定”モジュールの“作成/追加”をクリックします)。
- RT-スポットのタイプを“除外スポット”に変えます。
- そのRT-スポットの中心を目標とする葉の色(色を戻したい葉)の部分に移動します。葉の大きさを十分カバーするようにRT-スポットの境界を拡大します。
- “除外”のパネルの中の“スコープ”を目標とする効果が得られるように調節します。
- “除外スポット”は通常のスポットとして使うことも可能です。他の機能を追加して使います(本例の場合、色と明るさ以外の、ノイズ除去、ぼかしなどの機能)。つまり除外スポットは他のRT-スポットで調整した効果を部分的に無効にするだけなので、他の機能の調整であれば追加することが出来ます。
赤目の修正とセンサーに起因する欠陥を取り除く
赤目の修正手順は、準備、RT-スポットの調節、赤目を除く、の3段階からなります。
準備
- 目の周りを十分な大きさのRT-スポットで囲みます。
- RT-スポットの中心を赤くなった目(瞳)に合わせます。
- “ロック式カラーピッカー”を調整によって色の変化が予想される4カ所に配置します。
RT-スポットの調整
- “色と明るさ”機能を追加します。
- “設定”にある“ΔEのプレビュー”ボタンを押します(作用の及ぶ部分がグリーンで表示されます)。
- RT-スポットを目標とする補正が行えるように調整します:
- RT-スポットの中心円の大きさを14にしました。
- カラー機能のスコープを18にしました。
赤色を除く作業
- “色と明るさ”機能の色度のスライダーを-100にします。
- 結果を確認します :
- 瞳の主体色がなくなりました。
- 虹彩、角膜、肌の色に変化はありません。
- 結果の状況に応じて多少の調整が必要かもしれません。例えば、赤目の外側でも色が褪せるようであれば、“境界値”を低く、或いは、“境界値の減衰”を高くします。
センサーの欠損、汚れを処理する
センサーの欠損や小さな汚れ跡の除去も、赤目の補正と同じ原理で処理できますが、本例では別の機能を使って補正します。
- “ローカルコントラスト&ウェーブレット”(機能水準は高度)の“Ψウェーブレットピラミッド2:レベルによるコントラスト調整”、或いはCBDL (詳細レベルによるコントラスト調整)を使います。
- 両方法とも、番手の低いレベルのコントラストを下げることで目的を果たします。
- 必要であればレベルのぼかし(Ψウェーブレットピラミッド1)を使うことも出来ます。
- “境界値”を低く(20以下)、“境界値の減衰”は高く(15以上)設定します。
- 但し、ΨウェーブレットピラミッドやCBDLの機能を使う場合は、RT-スポットの大きさが最低でも32x32ピクセル以上ないと適切に作用しないので、欠陥の大きさがRT-スポットに比べて非常に小さい時は、境界値やΔEを使って対処します。
例として、複数の汚れ跡をΨウェーブレットピラミッド2で処理します。
- 次のスクリーンショットを見て下さい。幾つか小さな染みが目立ちます。
- RT-スポットに“ローカルコントラスト&ウェーブレット”の機能を追加します。
- 機能水準のモードを“高度”にし、コンボボックスの中から“Ψウェーブレット”を選びます。
- スコープは20にセットします。
- “Ψピラミッド2 レベルによるコントラスト調整-トーンマピング‐方向によるコントラスト”のパネルを拡張し、“レベルによるコントラスト調整”に✔を入れます。
- “減衰応答”、“オフセット”、“色度のレベル”(場合によっては)で高い値を設定します。
- “レベルによるコントラスト調整”カーブを使って、番手の低い詳細レベルのコントラストを下げます。
覆い焼きと焼き込み
ポートレート写真など、光が肌に直接当たっている写真では、コントラストが過度に強くなってしまう不快な現象が起きることがあります。肌の一部分が露出過多になる一方で、他の部分が露出不足になるケースです。
- 一般的に、この問題はマスクとレイヤーを使って補正されています。GIMPやPhotoshop©を使ったこの補正のチュートリアルは沢山あります。RawTherapeeのユーザーはローカル編集に備わっているマスクを使って類似の編集が可能ですが、本例では:
- “独自のレティネックス” (Ipolの研究成果を応用)を使った補正を紹介します。レティネックスは1970年代に生まれた概念で、従来は異なる分野のアプリケーションとして使われていますが、RawTherapeeはそれを応用しました。以下の様に使います:
- 複数の可変しきい値を使ったラプラス変換を行う。
- ポアソン方程式(PDE 偏微分方程式)の解を求める。
- 輝度のバランスを図る。
注釈:これらを使う理由は、ラプラス作用素が小さなディテールの検知に優れていること、ラプラス変換により生成される偏微分方程式を解くことで、機能として使えるようにするためです。しかし、“独自のレティネックス”機能を使う上で、これら複雑な数学を理解しなければならないということはありません。
手順は、準備、ラプラス変換の設定とプレビュー、結果、の3つです。
準備
- ΔEに関する設定や“スコープ”(“独自のレティネックス”に付属しているスコープのことです)、境界値の設定は、前例と同じです。
- ポートレートを例題に使います。但し、肖像権の問題を避けるために、目を隠しています。
- “現在のスポットに機能を追加”で“ソフトライト&独自のレティネックス”を選びます。機能の水準は“高度”、コンボボックスの中から“独自のレティネックス”を選択します。
ラプラス変換の設定と調節の概要
- 1次ラプラス作用素のしきい値を計算に入れるため、強さのスライダーを調節します。
- 2次ラプラス作用素を実行するために、画像のΔEを計算に入れる“ΔEのラプラシアンしきい値”スライダーを調節します。この処理はスコープのアルゴリズムのアップストリームに位置し、背景の違いを考慮します。
- “フーリエの処理を表示”のコンボボックスの中から“マスクなしで変更を表示”を選び、変更をプレビューで確認します。
結果
似たようなアルゴリズムが、“ダイナミックレンジ&露光補正”の中で使われています。露出に大きな違いがある画像(全体的に露出不足の場合が多い)の補正に使うことが出来ます。
輝度、色度、色相をベースに階調フィルタを施す
準備
- 冒頭で使った花の画像を使います。
- “ロック式カラーピッカー”を7つの観測点に配置します。
- “色と明るさ”の機能を追加し、機能水準を“高度”にします。
Rawファイルへのリンク [3]
諧調フィルタを施す
任意に以下の設定をしました。
- 輝度の階調の強さ: -0.44
- 色度の階調の強さ:1.13
- 色相の階調の強さ : 2.69
- 階調フィルタの角度 : -87.6
- カラー機能のスコープ = 30
- “設定”のフェザー処理 = 25
デフォルトの設定を変えてみる
- カラー機能のスコープの値を、70、75、80、85、90、100と少しずつ変えてみて下さい。
- フェザー処理の値も変えてみます。
- 階調フィルタの値(L,C,H、フィルタの角度)も変えてみて下さい
- また、“色と明るさ”の機能の値も変えてみます。
露光を変えてシャドウを明るくする5つの方法
以下の説明は露光を変える方法を幾つか(これらだけに限られません)示したものです。
- 編集が難しい画像です。非常に暗いシャドウの中心にほぼ露出過多になっている部分があります。
- 以下の機能を使う5つの方法を示しますが、順番による優劣はありません
- シャドウ/ハイライト
- トーンイコライザ
- TRC (トーンレスポンスカーブ)
- 対数符号化
- 露光補正(PDEアルゴリズムと露光補正)
他にも以下の様な調整法が考えられます :
- コントラストカーブ使う
- “色と明るさ”の明るさのスライダーを使う
- 輝度の階調フィルタを調整する
準備
- 以下のスクリーンショットのようにRT-スポットを作成/追加します。
- “カラー機能のスコープ”スライダーを50にセットします(“シャドウ/ハイライト”の機能を使う場合は“カラー機能のスコープ”を使いますが、“対数符号化”と“露光補正”機能を使う場合は、それらのモジュールに付属している“スコープ”を使います)。
- 5つの調整方法を試す際には、スコープの値を20や100に変えて効果の違いを見て下さい。
Rawファイルへのリンク [4]
シャドウ/ハイライトを使う
"シャドウ/ハイライト&トーンイコライザ"の機能をRT-スポットに追加します。機能水準は“標準”です。
- 機能タイトル下のコンボボックスから“シャドウ/ハイライト”を選択します(デフォルトは“イコライザ”になっています)。
- “シャドウ”や"シャドウトーンの幅“を調節してみます。
トーンイコライザを使う
上記と同じ機能で、今度は:
- コンボボックスから“イコライザ”を選択します。
- スライダー2,3,4を変えてみます。
TRCを使う
更に、上記と同じ機能で、今度は:
- スライダーの下にあるTRC(トーンレスポンスカーブ)を使います。
- "スロープ"を150に上げて、変化を見て下さい。
- ガンマを上下させて違いを見て下さい。
対数符号化を使う
"対数符号化"機能を追加します。
- “対数符号化”の中にある“スコープ”を変えてみます、例えば50
- "自動"ボタンを押してみます。
- "グレーポイントの目標"を変えてみます。
露光補正を使う
"ダイナミックレンジ&露光補正"機能を追加します。
- 機能水準は“標準”です。
- “露光量補正ƒ”(ラプラス変換とフーリエ変換を適用します)を調整します。
- “露光補正の機能”パネルを拡張し、黒レベルを-1150、シャドウを50に設定します。
- “ハイライト圧縮”はデフォルトでは20に設定されていますが、これを変えて変化を見ます。
- 他の設定値も変えてみます。
特定の画像に推奨される方法
カラーコントラストの少ないポートレートやその他の画像の場合:
- このモジュールの“露光補正”スライダーは注意しながら使います。この露光補正はメインの露光補正のアルゴリズムに近いものですが、肌の様に色の変化が少ない画像に対する働きがまだ良くありません。この問題はラプラス作用素の追加で改善しましたが、まだ改良出来ると思います。
- 代わりにトーンイコライザ或いは“TRC”を使ってみます。
こういった画像に露光補正を使う場合は、設定メニューの“形状検出”の変数を変えてみることを奨めます。
- “ΔE スコープのしきい値”を増やします。
- ΔEの減衰を下げます。
- ΔEのバランス ab-Lを調整します。
- 必要に応じてカラー機能のスコープを調整します。
ハイダイナミックレンジ画像の処理-ダイナミックレンジ&露光補正モジュールの対数符号化、或いはPDEアルゴリズムを使う
対数符号化と色の見えモデル02のチュートリアル
色順応の使い方
まず、カラータブの中の“ホワイトバランス”機能で“自動”の中の“色温度の相関関係”を選択します。これで、数学的にほぼ完全なホワイトバランスが得られます。
Rawファイルへのリンク [5]
適切な“ローカル編集”の設定 – 下準備
- “ローカル編集”タブを開きます。
- RT-スポットの形状に“長方形”を選択し、プレビュー画面を囲うようにフレームを拡大します(そうすることで、RT-スポットの中心の参考値が画像全体に使えます)。
- “境界値”を100にします
- スクリーンショットの様にロック式カラーピッカーを配置します
対数符号化を選択
“現在のスポットに機能を追加”で“対数符号化”を選択します。
- RT-スポットの中心を移動してみます
- “スコープ”の値を40、60、80、100に変えてみます
- 結果を見極めます
- 画像はまだ黄色味を帯びています
色順応を調節 - cat02(色順応変換02)
- “色順応Cat02”のスライダーを左に動かすと画像の印象が冷たくなります。
- スライダーを10ポイント減らす(左)ことは、色温度を300K引き下げることに相当します。
- 試しに23まで下げてみます。
ハイダイナミックレンジ画像 + 色の見えモデル
本例の画像の編集は簡単ではありません(高度な機能のタブの色の見えモデルで使われている画像と同じです)。濃い影の中に、強い逆光が射しています。RawTherapeeのデフォルト設定を使い、ロック式カラーピッカーを本例の様に置き、処理による画像の変化が分かるようにします。
Rawファイルへのリンク [6]
対数符号化と色の見えモデルを使う
“現在のスポットに機能を追加”で“対数符号化”を選択します。以下の様に本例に任意な設定を行い、例1(元画像)と比較します:
- RT-スポット(形状は長方形)の境界線4辺を拡大して、プレビュー画面を囲うようにセットします。
- “境界値”を100にします。
- “スコープ”は79
- “機能水準”を“高度”にします。
- “自動”ボタンを押します。
- RT-スポットを動かして効果の違いを見ます。
- スコープを変えて効果の違いを見ます。
対数符号化の中の色の見えモデルの設定を変える
- “画像条件”の“周囲環境”を“薄暗い”に変えます。画像が少し明るくなるはずです。
- “画像の調整”の中の、彩度(S)を30、コントラスト(J)を-10にします。
- シャドウの変化を確認します。
更に、“すべて”を選んで:
- 彩度(S)の代わりに鮮やかさ(M)を使ってみます。
- コントラスト(J)の代わりにコントラスト(Q)を使ってみます。
- 明るさを変えてみます。
対数符号化 – 覆い焼きと焼き込み – 色の見えモデル
準備
これは対数符号化と色の見えモデルを使った別な覆い焼きと焼き込みの方法です。RT-スポットを顔の部分に持って行き、ロック式カラーピッカーを例の様に配置します。
Rawフィルへのリンク [7]
手動モードで対数符号化を色の見えモデルと合わせて使う
- “現在のスポットに機能を追加”で“対数符号化”を選択します。
- 機能水準は“高度”を使います。
- “自動”ボタンを押します。
- 求める効果になるまでホワイトEvを少し上げます(本例では3.0から5.0に上げています)。
- 彩度(S)を少し上げます。
- “すべて”をクリックし、明るさ(Q)を少し減らします。
- 周囲環境を変えてみます。
- スコープの値を変えたり、RT-スポットの位置を変えたりしてみます。
その他の例
ハイダイナミックレンジ画像は、画像処理の中で繰り返し出てくる問題です。既にRawTherapeeにはダイナミックレンジを狭めるアルゴリズムが幾つか(ダイナミックレンジ圧縮、シャドウ/ハイライト、トーンイコライザ、TRCなど)用意されていて、ある程度問題の解決に至っています。
- 本例では、J.DesmisによってRawTherapeeのローカル編集に組み入れた“対数符号化”(Darktableのフィルミックモジュールから派生した機能で、A.GriggioのARTにも採用されています)を使います。
- 本例では、“対数符号化”モジュールの能力を示すため、設定の中の“階調フィルタ”を使わずに、このモジュールを使って輝度の階調を変えます。
- 手順は、準備、自動、調節、です。
準備
- RT-スポットを以下の様にセットします:
- RT-スポットの中心をスクリーンショットに示したように画像の左下に置きます。
- RT-スポットの右辺上が画像の境界に来るようにセットします。
- “対数符号化”を追加します。機能の効果を示すため、スクリーンショットは敢えて機能を無効にしています(デフォルトでは機能を追加した際に有効になります)。
Rawファイルへのリンク [8]
自動設定
- “自動”ボタンを押します(自動調節なのでスライダーがグレーアウトします)。
- 画像が明るくなります。
- 自動ボタンをもう一度押すとスライダーが手動で調節できるようになります。
- ブラックEv=-6.7、ホワイトEv=6.9という結果は、この画像のダイナミックレンジがEv=13.6の幅を持つことを示しています。
- ソースとなるグレーポイントの値は(自動で設定されます) は1.2です。
- これらの設定はモジュールの処理工程のアップストリームで自動的に計算されたものです(手動で変えることも出来ます)。
調節
画像を自分の好みに調節します、例えば:
- “設定”にある“境界の階調調整”の、境界値を45にします。必要に応じて、“境界値の減衰”や“境界の差異 XY”を調整します。
- 画像に対する作用の配分を調節します。対数符号化に属しているスコープを50設定します。
- 観視条件の“グレーポイントの目標”スライダーを22に設定し、画像全体の輝度を変えます。
ダイナミックレンジ&露光補正を使った別な方法
“ダイナミックレンジ&露光補正”を使います。“コントラストの減衰”と“ダイナミックレンジ圧縮”で使われている2つのPDEアルゴリズムを組み合わせて使います。両方のパネルを拡張します:
- コントラストの減衰(スクリーンショットに表示されている数値を設定します):ラプラシアンのしきい値=75.6、線形性=0.61、ラプラシアンのバランス=1.32、ガンマ=1.4
- ダイナミックレンジ圧縮(スクリーンショットに表示されている数値を設定します):量=65、ディテール=-19、シグマ=1.48、オフセット=2.29
- 付属のスコープ=82
対数符号化とハイライト復元
“対数符号化”を使うと、時折、予想外に悪い結果になることがあります。撮影時条件によって露出過多になってしまったハイライト部分がある場合、そのハイライト部分を復元する必要がありますが、対数符号化を適用した時に、復元したハイライトがフラットな印象になってしまうことがあります。2つの方法を使って、これら復元したハイライト部分を保護します:
- マスクと復元処理を使う方法
- “除外スポット”を使う方法
準備
Rawファイルへのリンク [9] pp3へのリンク [10]
基本的な設定
- ホワイトバランスの補正(カラータブ):撮影者以外、撮影時の条件(背景の光の種類;LED?蛍光灯?前景に当たっている光の種類)は分からないので:
- カメラのホワイトバランスをそのまま使う
- 或いは、自動の中の“色温度の相関関係”を使う
- “ハイライト復元”の方法:本例ではEmil Martinecが設計した優れた方法、“色の波及”を使っています。
RT-スポットの準備
- 形状は“長方形”を選択します。
- 外枠(フレーム)を、プレビュー画像を囲むように拡大します。
- 境界値を大きくします。
- “ロック式カラーピッカー”をスクリーンショットの様に配置します。
- メインの“設定”にある"マスクと融合に関する設定"の中の“輝度とカラーマスクの背景色”スライダーを0にします。
対数符号化を適用
- 現在のスポットに機能を追加で“対数符号化”を追加します。
- 機能の水準モードは“高度”(或いは標準)を選択します。
- “自動”ボタンを押します。
- 対数符号化モジュールの“スコープ”値を80以上にします。
“対数符号化”により前景(被写体)を中心に調整が自動的に行われましたが、“復元”した背景のハイライト部分の色が褪せて、明るさが減りました。
更に、全体的な彩度が強くなり過ぎて、露光の配分も不適切になっています。
マスクを作る
RawTherapeeで一般的に使われるマスクとは異なるマスクを作ります。マスクを“存続したまま”使って、“対数符号化”を適用していない画像と、適用した画像を融合します。
“輝度マスクをベースにした復元”の設定に応じて:
- マスクの暗い部分では、融合した画像のその部分は限りなく元画像に近くなります。
- マスクの非常に明るいでは、融合した画像のその部分は限りなく元画像に近くなります。
- 上記2つの部分以外で、“対数符号化”の調整が働きます。
本例では、LC(H)カーブを使っていますが、他の画像ではL(L)カーブを使う必要があるでしょう。注意:C(C)カーブは融合の効果がありませんが、領域選定の質を向上するのには使えます。
マスクを使ってハイライトを部分的に復元
- “マスクを有効にする”チェックボックスに✔を入れます。
- “輝度マスクをベースにした復元”のパネルを拡張します。
- “復元のしきい値”の設定:設定値を2に近づけるほど、マスクの暗い、或いは非常に明るい部分の広範囲が考慮され、元画像に近い輝度を復元します。
- “暗い領域の輝度のしきい値”と“明るい領域の輝度のしきい値”スライダーを使って、効果が及ぶ領域を増やしたり減らしたりします。
“除外スポット”を使ってハイライトを復元
“ローカル編集”の特筆すべき機能、“除外スポット”を使ってハイライト復元を行います。調整の加減は任意です。
CIECAM16を使って最終調整
露光補正タブのハイライトの復元方式“色の波及”と“ローカル編集”タブを使った調整の後、CIECAM16を使った仕上げを紹介します。
- コントラストを増やします。
- 彩度を下げます、特に肌色の。
- 画像の印象を少し冷たくするために色順応を調整します。
もちろん、人によって感じ方は違うので、設定値は任意です。
最終的な留意点:
- ハイライト部分は復元出来ましたが、ノイズが多い画像なので、更にノイズ低減を使って仕上げを行う必要があるでしょう。しかし、この項の説明趣旨とは外れるので手順は省きます。
霞除去-レティネックス
本例では、霞が強くかかった風景画像を処理します。初めにメインの“ディテールタブ”にある“霞除去”を使って補正し、その後、ローカル編集の霞除去-レティネックスで更に空と水平線の部分を補正します。
元画像
Rawファイルのリンク: [11]
霞除去(メインのディテールタブに付属する霞除去)による処理
初めから、ローカル編集の“霞除去”を使っても補正が出来ますが、画像をよく見ると、背景と丘陵部分の霞がより強いので、2段階で補正する方がいいでしょう。
ローカル編集のレティネックスを使った補正
- “霞除去-レティネックス”を追加します。機能水準のモードは“高度”にします。
- 備わっている機能の設定を色々変えてみます。
- 必要に応じて“透過マップ”を開き、カーブの右側を下げます。
- 調整の結果を見極めます。遠景の霞が軽減されました。
ノイズ除去の使い方
使い方は幾つかあります、例えば:
- 初めにディテールタブに付属するメインの“ノイズ低減”を使ってノイズ除去を行い、引き続き特定の部分をローカル編集のノイズ除去を使ってファインチューニングします。この場合、メインでの調整は控えめに行います。
- 画像全体のノイズ除去を“ローカル編集の”ノイズ除去“で行い、そのノイズ除去の影響を受けたくない部分に”除外スポット“を使ってその部分の効果を無効にします。
- ノイズの少ない画像に対して、ローカル編集のノイズ除去だけを使って特定部分だけのノイズを除去します。
- 創作的な目的で、ローカル編集のノイズ除去で一部のノイズを除去し、その他の部分のノイズをそのままにします。
本例は4番目の使い方でノイズ除去を行います。下の少女のポートレート画像には多くのノイズ、特に強い色ノイズ、があります。
Rawファイルへのリンク [12]
100%に拡大
どの様な設定を行うか
- RT-スポットの中心円の位置とその大きさが重要です:色ノイズが特に激しい部分に中心円を合わせて、そのサイズを大きめにします。
- スコープの設定も重要です :本例の場合、色ノイズがカラースペクトラム全体(レッド、グリーン、ブルー、イエロー)に渡っているので、高いスコープの値(本例では90)が必要です。一方、輝度ノイズだけの処理で十分な画像の場合は、色の違いだけで作用に差をつけるだけなので、スコープ値は通常の30で十分です。
- ローカル編集のノイズ除去機能は、メインのノイズ低減モジュールとは異なる点が幾つかあります:
- ディテールのレベルに応じて(カーブの横軸の位置次第で、0~6まで)、輝度ノイズ除去の程度を、カーブを使って変えることが出来ます。
- ディテールのレベルに応じてノイズ除去の作用に差をつける:例えばレベル3以上でカーブが縦軸の20%以上にある場合は、輝度ノイズの除去が積極的になります。
- 輝度に関する“暗さ-明るさ”の違いは、“ガンマ”ではなく“イコライザ”で扱われます。
- “低い番手の色ノイズ”(詳細レベル0~4の、インパルスノイズや低色ノイズ)と“高い番手の色ノイズ”(詳細レベル5や6のパケットノイズ、ブロッチノイズ)に対する作用に差をつけることが出来ます。
- “レッド/グリーン”、“ブルー/イエロー”のイコライザはノイズの少ない画像のノイズ除去に便利です。
- DCT(離散コサイン変換)を使った、“色の詳細を回復”スライダーが追加されています。
- エッジ(“形状検出”)に応じて作用に差をつける、“輝度と色の詳細のしきい値(DCT)”スライダーがあります。
難し過ぎる?ウェーブレットを使う
実例(諦めないで、思ったほど難しくない)
下のスクリーンショットは元画像の“露光量”を+1.5に調節して明るくしたものです。トーンマッピングを使って部分的な明暗の印象を更に調節します。手順を説明するのが目的なので、美的な要素は考慮していません。
“ウェーブレットのトーンマッピング”を使う
- 設定は全てデフォルトのままにしておきます。
- “ローカルコントラスト&ウェーブレット”機能を追加し(機能水準は高度)、“ウェーブレットピラミッド2”のパネルを拡張します。
- スコープ(モジュール内)の値を80にセットします。
- スクリーンショットに表示されているように、各数値を設定します。
- もちろん、効果の程は個人の好みなので、それに応じて設定を変えます。
- この“トーンマッピング”はRawTherapeeに備わっている他のアルゴリズム(“ダイナミックレンジの圧縮”に使っているFattal、“トーンマッピング”と“対数符号化”に使っているMantiuk)とは異なります。RawTherapeeのウェーブレット専用アルゴリズムです。
質感を強める3つの方法
実演を兼ねて3つの方法を使います:
- トーンマッピング (Mantiuk)
- レティネックス
- ウェーブレット
準備 – 元画像(ベニス)
Rawファイルへのリンク [13]
"トーンマッピング"を使う
- “輝度の標準化”オプションを有効にします。これで編集画像の輝度の平均と分散が元画像のそれらと同じになります。
- 機能水準を高度にして、“エッジ停止”と“スケール”を使って質感を調節します。
"レティネックス"を使う
- 上記と同じく、“輝度の標準化”オプションを有効にします。
- この方法では、"高速フーリエ変換“を使うことが出来ます。
"ウェーブレット"を使う
- “詳細レベルのダイナミックレンジ圧縮”、“減衰応答”、“バランスのしきい値”、“残差画像の圧縮”を使います。
- "レベルによるコントラスト“も使ってみます。
- “方向によるコントラスト”も使ってみます。
- 或いは、これらを併用します。
ブレンドモードを使ったスポット(レイヤー)の融合
“色と明るさ”(機能水準のモードは高度)の中の“ファイルの融合”を使えば、レイヤーの融合効果を真似することが出来ます。各RT-スポットをレイヤーと見なすことが出来るからです(但し、類似しているだけで、同じではありません)。最大2つのRT-スポットを“オリジナル画像”に融合することが出来ます。
- “初めのRT-スポット(レイヤー)を“オリジナル”と呼ぶことにします。その画像データはローカル編集の調整を全く行っていない画像のものと同じです(“除外スポット”を適用した場合と同じデータ)。
- 例えば、RT-スポットを相互に重ね合わせる場合(例えばRT-スポットが6つある時):
- 現在のRT-スポットが6番目のものであれば、“ファイルの融合”機能はコンボボックスの中の選択に応じて、6番目のスポットを、5番目のスポット(前のスポット)、或いは“オリジナル”(元データファイル)、または色が定義された“背景”、と融合させます。
- 現在のスポットが6つの内の3番目であれば、“ファイルの融合”は、現在のスポットと2番目のスポット(前のスポット)、或いは“オリジナル”(元データファイル)、または色が定義された“背景”の何れかと融合させます。
- 融合のモードは、Photoshop@の融合モード(通常、差異、。。。ソフトライト(レガシー)、オーバーレイなど)から着想したもので、21種類の組み合わせが可能です。
- 各融合モードで、不透明度、ΔE、コントラストのしきい値を変える(“背景”を除く)ことが出来ます。
- “色と明るさ”に備わっている“階調フィルタ”は融合したファイルにも使えます。
本例は、この機能を使ってぼかしを施します。
準備
RT-スポットの設定はこれまでの例と同じです。“ぼかし/質感&ノイズ除去”の機能を追加します。機能水準は”高度“です。
- RT-スポットを“インバース”モードに設定します(ぼかし&ノイズのパネルを拡張すると“インバース”のチェックボックスが表示されますので、それに✔を入れます)。
- 目標とする効果に応じてスコープを90、或いは100に設定します。
- 半径を高い値に設定します(“ƒ 常に高速フーリエ変換を使う”に✔を入れて、2000以上にする)。ぼかしのモードは“輝度と色度”にします。
Rawファイルへのリンク [14]
2番目のRT-スポットを作成
2つ目のRT-スポットを作成し、”色と明るさ“機能を追加します。機能の水準のモードは”高度“にします。
- “カラー機能のスコープ”を100にします。
初めの融合-“標準”モードを使う
- “色と明るさ”モジュールの"ファイルの融合"パネルを拡張します。
- コンボボックスが現れ、デフォルトでは“なし”が表示されています、他は:
- オリジナル:未調整のRT-スポットデータと融合させるオプションです。
- “前のスポット”:前のRT-スポットと融合させるオプションです(前のスポットがない場合はオリジナルと融合します)。
- “背景”:色が定義された背景と融合させるオプションです。
- 3つの中の何れかを選択すると、融合モードを選ぶコンボボックスが表示されるので、そのドロップダウンリストの中から好みのモードを選択し、その下にある背景と融合、不透明度、コントラストのしきい値のスライダーを調整します。
- "色と明るさ"のモジュールの他の機能(明るさ、コントラスト、彩度)も使えます。
2つ目の融合に ソフトライトのブレンドモードを使う
融合モードの中から“ソフトライト”を試します(或いは、他のモードでも)。
- 設定(例、不透明度)を調整し、モードによる違いを観察します。
- “オリジナル”を“前のスポット”に置き換えて、違いを観察します。
単純なマスクを使って色の選択を増やす
準備
- 敢えて調整の難しい画像を補正してみます:空の色と山の色の差が小さく、更に山肌部分に多くの不規則性が見られます。
- 基本的な設定は前例とほぼ同じです。“カラー機能のスコープ”は40に増やしました。作用の影響が山肌以外の部分にも多少及んでしまうかもしれませんが、山肌の補正を適切に行うためには、ある程度妥協します。
- 調整結果を分かり易くするため、敢えて輝度(明るさ)と色度の調整を強くしています(本項の説明は綺麗に仕上げることが目的ではないため)。空の色が影響を受けないように注意します。
- マスクの代わりに、“除外スポット”や、RT-スポットの領域設定でベジェ曲線を使う(将来)ことも出来ますが、ここでは簡単なマスクの使い方を学ぶことを目的にします。マスクに複数のカーブを使ったり、RT-スポットを複製して複数のマスクを作ったりすることも出来ます。
- ローカル編集には2種類のマスクがあります:
- 一つは、画像に効果を足したり、画像から効果を引いたりするマスクではなく、ΔEを使う形状検出の質を向上させるためのマスクです。
- もう一つは、画像に効果を足したり、画像から効果を引いたりした際に得られる結果の違いを利用するためのマスクです。
- 本例では初めのマスクを使います。
Rawファイルのリンク: [15]
初めに、明るさと色度を大きく増やす
- 結果に注目: 調整により山肌の色の変化が空にまで影響して染み出しています。この様な結果を避けるようにします。
単純なマスクを作る
- 3つのカーブL、C、Hのうち1つを使います。本例ではLを使います。
- L(L)カーブを注意深く見て下さい:カーブの節目がグレーの濃さが変わる境界の所にあります。この“境界”は、RT-スポットの3つの参考値(色度、輝度、色相)に相当するもので、C(C)、 L(L)、LC(H)、全てのカーブに共通します。
- 形状検出だけを改善するために“ブレンド”のスライダーの使用は避けます。
- “マスクと調節”の中の“マスクと共に表示”を使うことも出来ます。
結果を踏まえて更に調整
- "マスクと調節"でコンボボックスの中から“変更した画像を表示”を選択します。
- "マスクを有効にする"に✔を入れます。
- 必要に応じて、"スムーズな半径“のマスクを調節します。
- "コントラストのカーブマスク"と 必要であればL(L)カーブを使ってレタッチを行います。
- 機能の水準のモードを“高度”にして、"スムーズな半径"のマスクの代わりに“ガンマ”や“勾配”、“ラプラシアンのしきい値”のマスクを試してみます。
- ここまで十分な結果とは言えませんが、本例はマスクがどの様に働くか、知る方を優先しています。
マスクを使った調節の改善方法は2つあります:
- RT-スポットの複製を使う:RT-スポットの複製を作成します。その中心の位置を前のRT-スポットの中心から少しずらし、複製したRT-スポットで前のRT-スポットの調節で生じた変則、或いは不完全な部分を補正します。更に、必要に応じて、複製したRT-スポットの設定値(本例では“色と明るさ”)を追加調整し、より均等な画質を求めます。
- 機能に備わったマスクを使う:マスク機能が備わっている別な機能モジュールを有効にして、そのマスクを活用します。この場合、両マスクはΔE(スコープ)を計算に入れるため、RT-スポットと同じ参考値(輝度、色度、色相)を使います。
ΔEの考慮について:
- ローカル編集の中核機能の一つ、例えば、ΔEを考慮する“スコープ”を無効にすることが出来ます。そうすることで“スコープ”を無視して、マスクだけの調節に専念出来ます。この場合はスコープを100に設定します。スコープの機能が失われるので、“ブレンド”の機能だけをマスクと画像の組み合わせに使うことが出来ます。
- “マスクと調節”の中にあるマスク機能(コントラストカーブのマスク、色度のマスク、ガンマのマスクなど)を使う場合、“設定”の中の特定の機能、例えば“ΔE画像のマスク”、には敏感に反応するので注意が必要です。
オリジナルスポットとマスクをブレンドする
マスクを使って仏塔の画像の遠近感(レリーフ)を改善します。
準備
- 画像の遠近感を高めるには、“詳細レベルによるコントラスト調整”や“ウェーブレットピラミッド”機能を使うことも出来ますが、マスク機能を学ぶため、“ブレンド”を使って目的の効果を出します。
- “色と明るさ”の機能を追加し、機能の水準を“高度”にします。“カラー機能のスコープ”は40です。
raw画像へのリンク: [16]
マスクの設定-避けたい操作
- 目的の効果を2つの機能を使って行います:
- 色を選択するためにLC(H)カーブを使います。
- コントラストのしきい値とぼかし機能を合わせた“ぼかしのマスク”を使います。
- “FFTW”を有効(✔)にします。処理時間は増えますが、その分調整の質が上がります。無効の場合、半径の最大値は100までですが、有効の場合すると1000まで上げられます。
結果
- “マスクを有効にする”に✔を入れます。
- “ブレンド”のスライダーを好みに合わせて調整します。
- 必要であれば、“マスクのツール”の中の"スムーズな半径“も調整します。
- “色と明るさ”の、マスクに関係しない機能(明るさやコントラストなど)を調整している場合は、“スポットの構造”スライダーの調整が影響します。
- この時点で、画像が主体色を持ってしまったことが分かります。LC(H)カーブと一緒に“ブレンド”機能使ったことが原因です。
- カーブのモードを“リニア”に変えると、主体色がなくなるのが分かります。
- この問題に対応するために、“ブレンド”モードを使う・使わないにかかわらず、複数のマスクの設定を一緒にしないようにします
- 使う・使わない、の両方の設定が必要な場合は、前述の「単純なマスクの使い方」で、複製モードで2つ目のRT-スポットを作成し、一つは“ブレンド”を使い、もう一つのRT-スポットでは使わない(或いは、異なるブレンド値を使う)とする方がいいでしょう。他の機能に備わっているマスクを使うことも出来ます。
適切な処理手順
前述した様に、2つのステップで処理します、例えば、2つのスポットを作成して:
- 初めのRT-スポットはLCHカーブだけを考慮して使い、
- 2番目のRT-スポットは画像の構造を変えるだけに使います。
画像の構造を変えるためのマスクタイプのツールが幾つかあります(機能水準が“高度”の場合)。
- コントラストのしきい値とぼかしの機能を持つ “ぼかしマスク”。
- 画像の構造に直接作用する“構造マスク”。
- これら2つの機能を使う場合は、LCHカーブは無効(カーブなし)にしておく必要があります。但し、必要であれば、L(L)カーブをLCHと関連付けることは出来ます。
- 2つの機能、“ぼかしマスク”と“構造マスク”は相互に関連付けることが出来ます。
- "ローカルコントラスト(ウェーブレット)"と"ウェーブレットのレベルの選択"はL(L)マスクカーブと関連付けることが出来、“ローカルコントラスト”の効果を生みます。
操作手順:
- "マスクを有効にする"を有効にします
- 好みに応じて“ブレンド”の値を調整します
- 必要であれば、マスクツールの"スムーズな半径“を調整します
“共通のカラーマスク”の使い方 – 2つのRT-スポットの融合の方法
このマスクの働きは“ローカル編集”の他の機能に付属しているマスクと同じではありません。例えば“色と明るさ”モジュールに備わっているマスクは、色と明るさの機能を補間する働きをします。しかし、“共通のカラーマスク”はそれ自体が一つの機能として働きます。画像のコントラスト、輝度、色度、または質感を変えることが出来ます。
- C(C)、L(L)、LC(H)、の3つのカーブで構成(“高度”モードでは、更に“構造マスク”と“ぼかしマスク”が追加されます)され、元画像と比べた時の色や構造に違いを持たせる働きをします。
- これらの“違い”は、“色と明るさ”機能の調整で変化する、“明るさ”、或いは“色度”の違いに似ています。
- マスク画像と元画像の色の違いは、ΔEと境界の階調調整のパラメータで考慮されます。
- もちろん、同じRT-スポットの中で他の機能と関連付けて使うことが出来ます。
- 以下、単純な例を使って、この機能の働きを説明します。
準備
初期の設定はこれまでの例と概ね変わりません。
- RT-スポットに”共通のカラーマスク“の機能を追加します。機能の水準は”標準“です。この機能の効果を見せるのが目的なので、他の機能は追加しません。
- マスクを作成します。手順説明を単純化するために、RT-スポットの参考値を考慮するのは、C(C)とL(L)のカーブ2つだけです。
- 注意:2つのスライダー、“輝度マスクの追加/削除”と“色度マスクの追加/削除”は、効果が弱く分かり難いので、デフォルト値を敢えて0にしていません。両方とも-10に設定しています。
Raw画像へのリンク: [17]
輝度のマスク
このカーブは輝度を少し変化させます。
- カーブの頂点が明るいグレーと濃いグレーの境目に位置しています。ここが、“輝度マスク”の輝度がRT-スポットの参考値と一致しているポイントです。
色度のマスク
- カーブの頂点が明るいグレーと濃いグレーの境目に位置しています。ここが“色度マスク”の色度がRT-スポットの参考値と一致しているポイントです。
ΔEのプレビュー
ここで、“画像+マスク”と“元画像”の間のΔEを調整します。
- “スコープ”を上げたり、下げたりしてみて下さい(ここで言うスコープは、“共通のマスク”の中のスコープのことです)。
- “設定”の中の、“形状検出”の変数を変えてみます:“ΔEのスコープのしきい値”、“ΔEの減衰”、“バランス ab-L(ΔE)”、“バランス C-H(ΔE)”
調整を表示
次に、マスクと調節の表示のコンボボックスから、“マスクと共に変更を表示”を選びます。
- “輝度マスクの追加/削除”と“色度マスクの追加/除去”のスライダーを調整してみて下さい(これらスライダーは“不透明度”の機能とも呼べます)。
結果
その他の調整:
- “スコープ”(“共通のカラーマスク”のスコープ)の調整
- マスクを有効にして(✔を入れる)、マスクツールの“スムーズな半径”を使い、3つのカーブ、C(C), L(L), LC(H)で生成されたマスクのアーティファクトを減らします。
- 色度のマスクの調整
- マスクツールの"コントラストカーブ“でマスクを調整します
- “設定”の中の“マスクと融合”パネルを拡張し、ΔE画像のマスクを有効にして、“スコープ(ΔE画像のマスク)”スライダーを動かしてみます:これはマスクに作用します。RT-スポットの中心(参考値)と比べたマスクのΔEを考慮します。このスコープはモジュールの先頭にある元画像と作成したマスクの違いに作用する“スコープ”とは異なります。
機能の水準を“高度”に切り替えます:
- “ソフトな半径”は、元画像とマスクを“追加/削除”した後の画像との間のアーティファクトを減らすことが出来ます。調整による変化は“変更した画像の表示”で確認出来ます。
- マスクツールの“ラプラシアンしきい値”を動かし、“スムーズな半径”との効果の違いを見ます。
- “ガンママスク”と“スロープマスク”の効果を試します。
- 画像の構造を以下の機能を使って変えてみます:“構造マスク”、“ぼかしマスク”、“ローカルコントラスト(ウェーブレットのレベル)のマスク”
- “階調フィルタのマスク”の効果を試します。
次に、色と明るさモジュールの中の“ファイルの融合”を使って、“共通のカラーマスク”で調整した画像を更に強化します。
新しいRT-スポットを追加、“色と明るさ-高度”
あくまで機能を学ぶための説明なので、画像の仕上がりは考慮していません。21通りの組み合わせの中から3つを選んで、融合モードを説明します。
- 新しいRT-スポットを追加作成します。
- “色と明るさ”機能を追加し、機能の水準は“高度”にします。
- ΔEのプレビューを見極めながら “カラー機能のスコープ”を設定します。
- 輝度、コントラスト、色度を調整します。
融合を準備
“ファイルの融合”パネルのコンボボックスで“前のRT-スポット”を選択し、“色と明るさ”で作成した上記の新しいRT-スポットを“共通のカラーマスク”で作成した前のRT-スポットと融合します。
最初は“標準”モードで融合
- “前のRT-スポット”を選択した後に表示されるコンボボックスで"標準"の融合モードを選択します。
- 任意に3つの設定を行いました:背景の融合=54.2(2つのRT-スポットの間のΔEが考慮されます)。不透明度=54.2(各レイヤーそれぞれを約50%にします)。コントラストのしきい値=12.5 (画像の均一な部分と質感のある部分の違いを考慮します)。
- 背景の融合と不透明度が同じ54.2になっていることに特別な意味はありません、あくまで任意です。
2番目の融合モード“ソフトライト”
融合モードをコンボボックスで“ソフトライト”に変更します。
3番目の融合モード“色の焼き込み”
- 今度は、融合モードを“色の焼き込み”モードに変えてみます。
- 明るさや色度の変化を比較します。
追加情報
“共通のカラーマスク”は何枚でも作成できます。単純にマスクを複製し、似たような設定をして前のマスクの近くにに置きます。
マスクカーブ、C(C), L(L), LC(H) 、に関する幾つかの重要ポイント:
- これらのカーブはマスクを作成するために使われます。
- カーブが左のようであれば(カーブの頂点がRT-スポットの参考値にある場合。本例の参照はL)、目標とする領域設定の精度が上がります。
- カーブが中央のようであれば(カーブの最下点がRT-スポットの参考値にある場合。本例の参照はH)、色(L或いはC)が褪せます。
- カーブが右のようであれば(カーブの最下点がRT-スポットの参考値と外れた所にある場合。本例の参照はH)、色(L或いはC)が褪せます。
- この項の説明では主体色がマゼンタ(花)とグリーン(葉)の2つの単純な画像を使いましたが、通常の画像の様に、色、輝度、色度の変化がもっと多い場合は、より入念なマスク作成が必要でしょう。
- 本説明ではRT-スポットの参考値を使うという、“ローカル編集”の基本を忠実に守りました。カーブだけを使うことも出来ますが、結果は全く異なるものになるでしょう。
- 同様に、融合においてもマスクに関して同じ色の範囲を使いました。2つ目のRT-スポットを追加して、葉の上に置く、という方法を取ることも出来ましたが、花の色の変化が少ない結果となるでしょう。
露出不足のポートレート、肌の印象を補正
女性のポートレート画像で、ローカル編集を使い、以下の補正を行います。:
- “露光量”を増やして暗い印象を軽減します。
- “詳細レベルによるコントラスト調整”を使って、肌の印象をソフトにし、“明瞭”を使って顔を明るくします。
- “階調フィルタ”で、顔の右側部分の陰を軽減します。
- 3つの“除外RT-スポットを使って、調整作用が目と口に及ばないようにします。
- “LC(H)のマスク”を使って、髪の毛の印象がソフトになるのを避けます(つまり、“詳細レベルによるコントラスト調整”の効果が髪の毛に影響しないようにします)
- 調整前と調整後を比較します。
- 留意:上記の調整はあくまで目安です。ユーザーの好みで調整を決めます。
Raw画像へのリンク: [18]
露光量を増やす
- メイン露光補正モジュールの中の露光量補正のスライダーを+0.5にします。
- ここで、RT-スポットを使い、露光量補正の効果を画像全体ではなく、特定領域に制限することも出来ます。
“詳細レベルによるコントラスト調整”(CBDL)を使う
- RT-スポットを追加作成します。“スポットサイズ”は大きくします。47
- 詳細レベル0~4のコントラストを漸次的に下げます。
- “明瞭”を60に設定します。
- “スコープ”の値を40に設定します。
諧調フィルタを使う
- 別なスポットを追加作成し、“色と明るさ”の機能を追加します。
- 階調フィルタのパネルを開き : “輝度”= -0.6、“階調フィルタの角度”=5に設定します。
- 機能の水準を高度に変えれば、“色度の階調の強さ”を調整することも出来ます。
目と唇を除外
- 3つのRT-スポットを“除外”モードで追加作成し、目と唇に配置します。
- RT-スポット(除外)の“スコープ”で好みの効果に調整します。
髪への影響をマスクで除外
- 初めに作成したRT-スポットに戻ります。
- “マスクと調節”のパネルを拡張します。
- コンボボックスの中から“マスクの表示”を選択します。
- LC(H)カーブを使います。
- 肌の色を確認します(薄いグレーと濃いグレーの境がその部分です)。
- スクリーンショットの様にLC(H)カーブを下げます。
- マスクツールの中の“ソフトな半径”を調整します。
- 必要に応じて“ガンマ”や“スロープ”、または“コントラストカーブ”を調整します。
結果
- コンボボックスから“変更した画像の表示”を選択します。
- "マスクを有効にする"に✔を入れます。
補正の前後を比較
CBDLの代わりに“ウェーブレットのレベルによるコントラスト調整”を使う"
- “ウェーブレット”の機能は、CBDLより強力な機能です。但し、調整の選択肢が多いので、複雑に感じるかもしれません。
- しかし、“減衰応答”(ダンパー)と“オフセット”を使うだけでも、CBDLと同じ効果を出すことが出来ます。しかも、CBDLは各詳細レベルで線形的な調整しか行えませんが、“ウェーブレットのレベル”は各詳細レベルで非線形的な調整が出来るので、ノイズやアーティファクトの増幅を避けることが出来ます。
- このウェーブレットのモジュールは“明瞭”機能も持っています。