Dynamic Range Compression/jp: Difference between revisions

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== イントロダクション ==
== イントロダクション ==
 ダイナミックレンジは幅広く使われる専門用語で、計測されるシグナルの最小値と最大値の範囲を意味します。写真撮影で扱う様々な必要事項の中にも、人間の目の知覚という独自の [https://en.wikipedia.org/wiki/Dynamic_range#Human_perception ダイナミックレンジ](夜空では微かに輝く星でも見ることが出来、日中は明るい空を見ることが出来ますが、同時にそれらを見ることは出来ません)があり、貴方が使用しているモニターにも(人間の目の知覚より遥かに狭いですが)、カメラの撮像センサーやそこから取り込んだシグナルを処理する電子パーツにもダイナミックレンジがあります。 “ダイナミックレンジの圧縮”機能は、撮影された画像のダイナミックレンジを圧縮・再配分する機能です。


 画像のダイナミックレンジとは、画像の最も明るい部分から最も暗い部分の範囲のことです。濃霧に包まれた野外の画像を想像して下さい。最も明るい部分と最も暗い部分の差は極端に大きくはないでしょう。これをダイナミックレンジが狭い画像と言います。一方、晴れた日の屋外が映っている部屋の中の画像を想像して下さい。日が当たっている空の明るさは、暗い部屋の隅どころか、電灯のついた部屋よりかなり明るいはずです、これをダイナミックレンジが広い画像と言います。
 ダイナミックレンジとは、測定された信号の最大値と最小値の比のことです。写真の世界で言うと、一般的には撮影シーンの最も明るい要素と暗い要素の比のことを指します。霧の深い日の屋外シーンは最も明るい要素と暗い要素の差が非常に小さい、“ローダイナミックレンジ(LDR)”のシーンです。対照的に窓から晴れた空が望めるような屋内シーンが“ハイダイナミックレンジ(HDR)”のシーンです。


 撮影された画像のダイナミックレンジは、それを見るためのデバイス(モニター、ラップトップPC、スマートフォンなど)のダイナミックレンジより広いのが普通です。そのため画像をデバイスで適切に表示するためには、一般的に2通りの処理を行います:一方は、撮影画像の中で、デバイスで再生可能なダイナミックレンジを逸脱している部分を削除します(屋外の空の明る過ぎる部分を削除する代わりに、部屋の中の映りを適切にする、または、屋外の空の明るさを維持する代わりに部屋の中を暗い映りにする)、もう一方は、ダイナミックレンジの範囲を圧縮し、暗い部分も明るい部分も適度に映るようにします、以下説明するこの機能は後者の方です。
 [https://en.wikipedia.org/wiki/Dynamic_range#Human_perception 人間の視覚システム]は、順応性が高く、広いダイナミックレンジを持っています。だから、夜には瞬く星を見ることが出来るし、昼間は青空を見ることが出来ます。しかし、カメラのセンサーやモニターは順応性が低く、しかもダイナミックレンジが狭いので、撮影シーン次第で、そのダイナミックレンジが、カメラ“センサー”のダイナミックレンジを簡単に超えてしまうことがままあります。この場合、写真や画像処理ではHDRをLDRにマッピングする処置が必要となります。 


 “ダイナミックレンジの圧縮”機能は、画像のハイライト部分を軽減し、シャドウ部分を持ち上げて、画像のダイナミックレンジを圧縮する機能です。[http://www.cs.huji.ac.il/~danix/hdr/ Gradient Domain High Dynamic Range Compression]という研究論文、他のソフトでは単純に“Fattal”と呼ばれる輝度のHDR圧縮法をベースにして作りました。
 一般的に、ダイナミックレンジの変更処理には2つの方法があります:変更先のダイナミックレンジを超える部分のデータを廃棄してしまう(例:ハイライトのクリッピング)方法と、変更先のダイナミックレンジに収まるようにデータを圧縮する方法です。本節で解説されている〈ダイナミックレンジ圧縮〉は、R. Fattalとその仲間が開発した[http://www.cs.huji.ac.il/~danix/hdr/ Gradient Domain High Dynamic Range Compression]というアルゴリズムをベースにした後者の方法です。このアルゴリズムは、Luminance HDRなどのソフトウェアでは、単に“Fattal”と呼ばれています。


 この機能はRGB色空間で作用し、実際の処理は[[Noise_Reduction/jp|ノイズ低減]] と [[Haze_Removal/jp|霞除去]]の前に行われますが、[[Exposure/jp|露光補正]]などのトーンカーブの調整前になります。
 このアルゴリズムは圧縮のコントロールに2つのパラメータ((αとβ)を使い、それぞれ“ディテール”と“量”というスライダーで調節します。この機能はRGB色空間で作用し、その適用は[[Noise_Reduction/jp|ノイズ低減]] と [[Haze_Removal/jp|霞除去]]の後、[[Exposure/jp|露光補正]]などの様な他のトーンカーブ調整の前になります。


 “ディテール”スライダーは上記論文の中のα(アルファ)に相当し、“量”のスライダーはβ(ベータ)に相当します。
 注意:他の機能を使ってダイナミックレンジを圧縮する方法もあります。最も単純なのは[[Exposure/jp|露光補正]]のコントラストスライダーの値をマイナスに設定してダイナミックレンジを下げる(むしろ、区分を直す)方法です。しかし、画像がねむくなり、つまらない印象になりがちです。トーンカーブはそれより調整が効きやすいですが、細かい調節が沢山必要になります。
 
 
 ダイナミックレンジを他の機能を使って圧縮する方法もあります。最も単純なのが、[[Exposure/jp|露光補正]]機能でコントラストの値をマイナスに設定する(先に示したダイナミックレンジの再配分とは異なり)ことです。しかし、殆どの場合、これだけでは画像の印象が眠くなり、つまらないものになります。そこでトーンカーブを使って更に補正を加えますが、このダイナミックレンジの圧縮機能は、そうした一連の処理に特化した様な機能です。


== 利用法 ==
== 利用法 ==

Revision as of 00:50, 17 July 2021

ダイナミックレンジの圧縮

イントロダクション

 ダイナミックレンジとは、測定された信号の最大値と最小値の比のことです。写真の世界で言うと、一般的には撮影シーンの最も明るい要素と暗い要素の比のことを指します。霧の深い日の屋外シーンは最も明るい要素と暗い要素の差が非常に小さい、“ローダイナミックレンジ(LDR)”のシーンです。対照的に窓から晴れた空が望めるような屋内シーンが“ハイダイナミックレンジ(HDR)”のシーンです。

 人間の視覚システムは、順応性が高く、広いダイナミックレンジを持っています。だから、夜には瞬く星を見ることが出来るし、昼間は青空を見ることが出来ます。しかし、カメラのセンサーやモニターは順応性が低く、しかもダイナミックレンジが狭いので、撮影シーン次第で、そのダイナミックレンジが、カメラ“センサー”のダイナミックレンジを簡単に超えてしまうことがままあります。この場合、写真や画像処理ではHDRをLDRにマッピングする処置が必要となります。 

 一般的に、ダイナミックレンジの変更処理には2つの方法があります:変更先のダイナミックレンジを超える部分のデータを廃棄してしまう(例:ハイライトのクリッピング)方法と、変更先のダイナミックレンジに収まるようにデータを圧縮する方法です。本節で解説されている〈ダイナミックレンジ圧縮〉は、R. Fattalとその仲間が開発したGradient Domain High Dynamic Range Compressionというアルゴリズムをベースにした後者の方法です。このアルゴリズムは、Luminance HDRなどのソフトウェアでは、単に“Fattal”と呼ばれています。

 このアルゴリズムは圧縮のコントロールに2つのパラメータ((αとβ)を使い、それぞれ“ディテール”と“量”というスライダーで調節します。この機能はRGB色空間で作用し、その適用はノイズ低減霞除去の後、露光補正などの様な他のトーンカーブ調整の前になります。

 注意:他の機能を使ってダイナミックレンジを圧縮する方法もあります。最も単純なのは露光補正のコントラストスライダーの値をマイナスに設定してダイナミックレンジを下げる(むしろ、区分を直す)方法です。しかし、画像がねむくなり、つまらない印象になりがちです。トーンカーブはそれより調整が効きやすいですが、細かい調節が沢山必要になります。  

利用法

 撮影した画像のダイナミックレンジが広すぎて、貴方のモニターでは美しく映らない場合、つまり画像の暗い部分と明るい部分の差(コントラスト)が大きすぎて、それら部分ではディテールが少ないという状態の時、この機能を使います。

 Panorama Stitcherなどのアプリを思い出して下さい。この機能の効果は編集中の画像のダイナミックレンジ(及びヒストグラム)次第です。一連の画像をスティッチング加工する場合、各画像には隣り合う画像と重なる部分が存在し、たとえ各画像に同じ編集パラメータを適用しても、最終的な効果は一致しません-つまり隣り合った画像の間には急激に明るさが変わる部分があるからです。従って、このダイナミックレンジの圧縮機能は、元画像には使わない方がいいでしょう。一連の画像の間で一貫したダイナミックレンジの圧縮を行う場合は、この機能の代わりにトーンカーブを使います。但し、この機能をパノラマ画像のスティッチングに使うことは出来ます。

インターフェイス

 このスライダーで圧縮率を設定します、値が高いほど画像のダイナミックレンジが圧縮されます。

ディテール

 画像の詳細部分をどれだけ維持するか調整します。マイナスの値を設定するとローカルコントラストが減り画像の印象が滑らかになります。プラスの値を設定するとローカルコントラストが増えます。

アンカー

 このスライダーでダイナミックレンジの圧縮を、暗い部分或いは明るい部分に偏らせることが出来ます。露光量補正と似たような効果です。