クリップなし
イントロダクション
“クリップなし”の処理プロファイル (バージョン5.6のRawTherapeeから導入)を使うことで、クリップしているシャドウ部分とハイライト部分も含めて、画像の全諧調のデータを保存することが出来ます。これによりシャドウ・ハイライト部分の詳細が保たれるので、追加調整のために保存した画像に強い露光補正やダイナミックレンジ圧縮を施すことが可能となります。科学的目的として使えるだけでなく、パノラマスティッチング作成のように、追加的な編集が必要でも、各画像をスムーズにつなぎ合わせるための最終的な露出がまだ決まっていない時に便利です。
- クリップなしで保存した画像
ダイナミックレンジが非常に広いrawファイル。ヒストグラムはシャドウ・ハイライト部分にクリップがあることを示している。
しかし、rawファイルにはクリップしているシャドウ・ハイライト部分を含め、全諧調範囲のデータが入っている。RawTherapeeの露光量補正で調整を行えば、クリップした部分の詳細を見ること出来るので、それが正しいことが分かる。ところが、この時点では露光量補正やダイナミックレンジ圧縮を使わずに補正を最小限抑えなければならないケースがある。
その場合、追加的な調整のために画像を通常の16ビットTIFFファイルで保存すると、クリップしたように見える部分が本当にクリップ(つまり、データ損失)してしまう。参考画像は、GIMPを使ってそのTIFFファイルの露光量を-2EVに補正したものだが、詳細が失われているため、特定の追加的な補正には使えない。
これを解決するために“クリップなし”の処理プロファイルを使う方法がある。後述の“利用方法”の項で説明されているように、画像を16ビット或いは32ビットの浮動小数点TIFFで保存する。保存されたTIFFファイルには全諧調のデータが含まれているので、強い露光量補正を施しても詳細部分が完全に残る。
クリップなしの画像を編集する場合、全ての機能が使えるわけではありません。一部の機能や設定は、RawTherapeeバージョン5.6のクリップなしで保存した画像には互換性がないので、この処理プロファイルでは次に示す機能が使えません:
利用方法
- “クリップなし”の処理プロファイルを適用します。この処理プロファイルで保存された画像には、先に挙げた機能や設定が使えません。出力プロファイルにはv4或いは線形で諧調反応するv2を使います。
- この処理プロファイルを適用し、全ての機能調整を安全なデフォルト値にリセットする場合は、このプロファイルを適用する前に、処理プロファイルの利用モードを”補填”
にします。
- 既存の調整を保持したままこの処理プロファイルを適用したい場合は、このプロファイルを適用する前に、処理プロファイルの利用モードを”維持”
にします。
- 適用後の画像は16ビット或いは32ビットの浮動小数点TIFFで保存します。